相続のギモンを整理する
相続の相談、どこにすればいい?
6つの窓口を正直に比べてみた
大磯在住の行政書士が、自分の守備範囲も含めて正直に解説します
親が亡くなって、「さて、相続の手続きをしなければ」と思ったとき、まず困るのが「どこに相談すればいいかわからない」という問題です。
弁護士、司法書士、税理士、行政書士……いろんな専門家がいて、それぞれ「相続の相談を受け付けています」と言っている。でも何が違うのか、よくわからないですよね。
私自身、行政書士として相続の相談をお受けしていますが、「行政書士にできないこと」もあります。それをごまかして「なんでもうちにどうぞ」とは言いたくない。このページでは、相談窓口を6つ正直に比べます。
このページでわかること
- 相談窓口6つの違いと向き・不向き
- 「自分のケース」はどこに持ち込むべきか
- 行政書士でできること・正直できないこと
① 市役所・区役所の無料相談|まず全体像を知りたいなら
「相続の手続きって何があるんだろう」という段階の方には、市区町村が開催する無料相談会が入口として使えます。弁護士や司法書士、行政書士などが交代で担当しており、中立的な立場から話を聞いてもらえます。
ただし、相談時間は30分程度で、その場で手続きを依頼することはできません。「何となく全体像がわかった」という程度の情報を得る場、と考えておくのが現実的です。
向いているケース
- 相続が初めてで何もわからない
- どの専門家に頼めばいいか聞きたい
- 費用をかけずに概要だけ知りたい
注意点
- 予約がすぐ埋まることがある
- 個別・具体的なアドバイスは限界がある
- その場で手続きの依頼はできない
② 銀行(信託銀行)|資産が多い方には選択肢のひとつ
銀行でも相続の相談を受け付けているところがあります。特に信託銀行は「遺産整理業務」として、手続きをまるごと引き受けるサービスを持っています。
ただし費用はかなり高めです。遺産総額に対して一定の割合で報酬が発生するため、資産が多い方向けのサービスと考えておくと現実に近いです。銀行員自身は法律の資格者ではないため、専門的な質問には提携先の士業が後日回答するケースも多いです。
向いているケース
- 遺産が多く、費用よりも安心感を優先したい
- 相続後の資産運用も一緒に考えたい
- その銀行に口座があり、全部まかせたい
注意点
- 費用が他の専門家より割高になりやすい
- 銀行員は法律の専門家ではない
- 複雑なケースは断られることもある
③ 弁護士|「もめている」なら弁護士一択
相続人どうしで争いになっている、話し合いがまったくまとまらない、遺留分を請求された、遺言書の無効を主張したい——こういった場合は弁護士に相談してください。
相続人の代理人として交渉し、調停・裁判まで対応できるのは弁護士だけです。逆に言えば、もめていない相続に最初から弁護士を使うのは費用の面でオーバースペックになることが多いです。
費用を抑えたい場合は、国が運営する「法テラス」に相談する方法もあります。収入等の条件はありますが、無料で弁護士相談が受けられる制度です。
向いているケース
- 相続人どうしで争いになっている
- 遺留分の請求・交渉が必要
- 遺産分割調停・裁判を検討している
注意点
- 費用が高くなりやすい(着手金+報酬)
- 訴訟になると長期化する
- もめていない相続には費用対効果が合わないことも
④ 司法書士|不動産の名義変更があるなら必須
相続した財産に不動産(土地・建物)が含まれる場合、相続登記を専門家へ依頼するなら司法書士が担当します。2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に手続きをしないと10万円以下の過料が科される可能性があります。2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に手続きをしないと10万円以下の過料が科される可能性があります。
不動産以外の預貯金や株式の名義変更、家庭裁判所への相続放棄などの申立書類作成にも対応しています。ただし、相続税の申告はできません。また、争いがある場合の代理交渉も司法書士の業務範囲外です。
🕊 あおばとチェック!
「不動産があるから司法書士に全部まかせればいい」と思いがちですが、司法書士によって相続全般への対応力はまちまちです。登記しかやらない事務所もあれば、戸籍収集から協議書作成まで一括で対応する事務所もあります。依頼前に何をやってもらえるか確認しておくことをおすすめします。
向いているケース
- 相続した財産に不動産が含まれる
- 相続放棄を検討している
- 遺言書の検認手続きが必要
注意点
- 相続税の申告はできない
- 争いになっている場合は対応不可
- 事務所によって対応範囲が異なる
⑤ 税理士|相続税の申告が必要なら税理士へ
相続税の申告が必要かどうか、申告はいくらになるか、節税できる方法はあるか——こういった税に関する相談は税理士の専門分野です。
ただし、相続税の申告が必要になる方は全体の一部にとどまっています(国税庁の統計でも申告割合は限られています)。基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以内であれば、原則として申告は不要です。「相続税がかかるかどうかわからない」という段階であれば、まず試算だけ相談してみるのも方法のひとつです。
向いているケース
- 遺産総額が基礎控除を超えそう
- 相続税の節税方法を知りたい
- 準確定申告・譲渡所得税の手続きが必要
注意点
- 不動産の相続登記はできない
- 相続税が不要なケースでは出番が少ない
- すべての税理士が相続に詳しいわけではない
⑥ 行政書士|書類と段取りが得意。もめていない相続なら入口に
ここは私自身の話なので、正直に書きます。
行政書士は、遺産分割協議書の作成、戸籍の収集、相続人の調査、預貯金の相続手続きに必要な書類の作成や収集、自動車の名義変更など、相続手続きに必要な「書類まわり」を幅広く担当できます。費用も弁護士・司法書士・銀行と比べると抑えられることが多いです。
ただし、不動産の相続登記は行政書士にはできません(司法書士の業務です)。相続税の申告もできません。争いになっている相続人どうしの交渉代理もできません。
「相続でもめていない」「不動産の登記は司法書士に別途頼む予定」「相続税はかからなそう」——このケースであれば、行政書士がコストを抑えながら書類まわりをまとめて担当できます。また、「どこに相談すればいいかわからない」という段階でも、整理する入口として使ってもらえます。
🕊 あおばとチェック!
「不動産があるから行政書士には頼めない」と思われる方が多いですが、不動産の登記は司法書士に任せつつ、遺産分割協議書や戸籍の収集など他の手続きを行政書士が担当するという役割分担も可能です。まずご相談ください。
向いているケース
- 相続人どうしでもめていない
- 遺産分割協議書・戸籍収集を頼みたい
- 費用を抑えたい
- 自動車の名義変更が必要
- まず何から始めればいいか相談したい
行政書士にできないこと
- 不動産の相続登記(→司法書士)
- 相続税の申告(→税理士)
- 相続人どうしの交渉代理(→弁護士)
- 家庭裁判所への申立代理(→司法書士・弁護士)
6つの相談窓口、まとめて比べると
| 相談窓口 | こんなときに使う | 費用感 |
|---|---|---|
| 市役所・区役所 | まず全体像を知りたい | 無料 |
| 銀行・信託銀行 | 資産が多くすべてまかせたい | 高め |
| 弁護士 | 相続人どうしでもめている | 高め |
| 司法書士 | 不動産の名義変更がある | 中〜高め |
| 税理士 | 相続税の申告が必要 | 遺産額に応じて変動 |
| 行政書士 | 書類作成・戸籍収集・もめていない相続 | 比較的リーズナブル |
結局、最初にどこへ行けばいいのか
「ケースによって違う」というのが正直な答えですが、迷ったときの目安として整理するとこうなります。
- 何もわからない → 市役所・区役所の無料相談で概要を聞く
- 不動産がある → 司法書士に登記を依頼
- もめている → 弁護士一択
- 相続税が心配 → 税理士に試算を依頼
- 書類・戸籍・協議書・もめていない → 行政書士
- 「どの専門家に相談すればよいかわからない」→ 行政書士などの相談窓口で状況を整理する方法もあります
「行政書士を入口に」というのは自分の立場で書いているからではなく、どの専門家に振り分けるか整理するだけであれば、費用が比較的かかりにくい行政書士が使いやすいからです。相続の内容によっては、司法書士・税理士・弁護士をご案内することになりますが、それはそれで正しい対応です。
当事務所では、司法書士・税理士・弁護士が必要な案件は、適切な専門家をご紹介しながら対応しています。無理にお受けすることはありませんので、ご安心ください。
大磯・湘南エリアを中心に相談をお受けしています。初回は無料です。「どこに相談すればいいかわからなかったから来た」という方が一番多いです。
よくある質問
Q. 不動産があっても行政書士に相談していいですか?
A. はい、相談はできます。不動産の登記自体は司法書士の業務ですが、遺産分割協議書の作成や戸籍収集など、登記以外の部分は行政書士が担当できます。司法書士と連携して進めることも可能ですので、まずご相談ください。
Q. 相続税がかかるかどうかわかりません。誰に聞けばいいですか?
A. 正確な試算は税理士に相談するのが確実です。ただし、大まかな目安(基礎控除の計算など)は行政書士でも説明できます。「相続税がかかるかどうかから知りたい」という段階であれば、まず行政書士に相談していただき、必要に応じて税理士をご紹介することも可能です。
Q. 相続の相談は無料ですか?
A. 市区町村が開催する無料相談会のほか、初回無料相談を実施している専門家事務所もあります。当事務所でも初回相談を無料で承っています。「費用がかかるから相談しづらい」とお感じの方も、まずお気軽にご連絡ください。
Q. 兄弟間でちょっとギクシャクしていますが、まだもめてはいません。どこに相談すればいいですか?
A. 「まだもめていない」段階であれば、行政書士でも相談をお受けできます。話し合いが決裂した場合は弁護士の出番になりますが、その前の段階で書類や手続きを整理しておくと、スムーズに進みやすくなります。
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