実家じまいの費用はいくら?放置で膨らむ負担と後悔しない進め方

行政書士の横山です。

お盆が近づくと、実家のことを考える人が増えます。「そろそろ何とかしないと」と思いながら、結局今年も先延ばし。そんな人、たくさんいると思います。

多くの場合、放置する期間が長くなるほど、片づけや維持管理、修繕などにかかる負担が増えやすい傾向があります。今日はその理由と、今からできることを、なるべくやさしい言葉でまとめてみます。

参考記事:ドラマでも話題の「実家じまい」。放置するほど膨らむ費用と進め方(マネーの達人)

実家じまいって、そもそも何?

実家じまいとは、親が亡くなったり施設に入ったりして誰も住まなくなった実家を、片づけて処分することです。家の中の荷物を整理して、売るなら売る、壊すなら壊す。実家の「終わらせ方」全部をまとめて指す言葉です。

ここでまず知っておいてほしいのは、実家じまいは「放っておくほど不利になる」という一点です。荷物は減りません。建物も傷みます。税金は毎年かかります。時間が味方をしてくれることは、残念ながらありません。

かかるお金は3種類だけ

難しく考えなくても大丈夫です。実家じまいでかかるお金は、大きく分けて3つしかありません。

  1. 片づけ・不用品処分の費用(荷物の量や広さで変わる)
  2. 解体する場合の費用(更地にするならこちら。建物の構造や敷地の状況によっては、アスベスト対策や地中埋設物の撤去などで追加費用が発生することもあります)
  3. 売却にかかる費用・税金(仲介手数料や譲渡益への課税など)

全体では数十万円から、解体が入ると百万円を超えることもあります。「うちはどのパターンになりそうか」を、まず頭の中で整理してみてください。

🕊 あおばとチェック!

「片づけ」「解体」「売却」の3つは、それぞれ相談先が違います。片づけは不用品回収業者、解体は工務店・解体業者、税金は税理士。窓口がバラバラになりがちなので、最初にざっくり3つに分けて考えるだけで、頭の中がスッキリします。

放っておくと固定資産税が上がることも

住宅が建っている土地には、固定資産税の「住宅用地の特例」というものがついています。これがあると、土地の固定資産税が安くなります。

ここで誤解しやすいのですが、空き家をそのまま所有しているだけでは、通常は住宅用地の特例は続きます。特例が外れて税額が上がるのは、建物を解体して更地にした場合や、管理不全空家などとして特例の対象外になった場合です。「放置=即・税金が上がる」わけではありません。ただし、解体すれば税金が下がるとも単純には言えないところが、実家じまいの分かりにくいポイントです。解体してから売るか、建物を残したまま売るか。この判断は、税金もセットで考えたほうがいいと思います。

売るときにかかるお金と税金

実家を売るときは、不動産会社に払う仲介手数料や、契約時の印紙代がかかります。さらに、売って利益(譲渡益)が出た場合には、税金がかかることもあります。

この税率は、売った年の1月1日時点での所有期間が5年を超えるかどうかで変わります。相続した不動産は、亡くなった方(被相続人)が取得した時期をそのまま引き継いで所有期間を判定します。「相続してから5年待たないといけない」わけではないので、この点は誤解しないようにしてください。

要件を満たせば税負担を軽くできる特例もあります。代表的なものが、一定の条件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」です(国税庁 No.3306)。マイホームを売ったときの特例(国税庁 No.3302)が使える場合もあるので、売る前に一度確認しておくと安心です。

費用を抑える4つのコツ

実家じまいの費用は、工夫次第で抑えられます。

  • 自分たちで運び出せるものは自分で片づけて、業者に頼む量を減らす
  • 元気なうちに早めに着手する(先延ばしは一番のコスト増)
  • まだ使えるものは買い取りに出して現金化する
  • 複数の業者から見積もりを取って比べる(相見積もりは相場を知る近道)

不用品処分を依頼するときは、自治体のルールに沿って適切に処理できる業者かどうかも確認しておきましょう。

自治体によっては、空き家の解体や活用に補助制度を設けているところもあります。実家のある自治体の窓口で、使える制度がないか確認してみるのもおすすめです。

家族でモメないために今できること

実家じまいは、思い出の詰まった家を手放す作業でもあります。だからこそ、進める前の家族の話し合いが欠かせません。

「形見として残すもの」と「処分するもの」の線引きは、あとあとのモメごとになりやすい部分です。お盆やお正月に家族が集まるタイミングで、一度方針だけでも共有しておくと、後がずっと楽になります。

片づけ、売却、税金と、必要な知識は幅広いです。不用品の処分は専門業者、売却は不動産会社、税金は税理士。相続関係書類の作成や各種手続きについては行政書士、不動産の登記は司法書士など、内容に応じて専門家へ相談すると安心です。一人で抱え込まず、専門家の力も借りながら進めていきましょう。